ドワンゴ現職エントリ(別の視点から)

昨日からのドワンゴ退職エントリからの現職エントリの流れに思うところがあり書かせてきただく。

はじめに断っておくが、私は件の現職エントリで言う所の「営業」(非エンジニアの企画職)にあたる職種である。

その視点からのエントリであり、エンジニアの視点ではないことをまずご了承いただきたい。

まず、私自身の話をする。

私は数年前に新卒でドワンゴに入社した。

アプリの企画がしたいと意気揚々と面接を受け、合格し、無事ドワンゴという当時人気絶頂のIT企業に入ることができた。

そして無事研修が終わったのち、自分が配属されたのは「イベント事業」であった。

最初の仕事はテントを運んで組み立てることだった。

その後イベントや生放送に関わってきたが、裁量労働制とは言え、コンテンツを作る側であるが故に、ほかの一般企業との打ち合わせややりとりなどで朝から晩まで作業や打ち合わせが詰まっており、まともに裁量などない状態であった。土日祝日のイベントで振替の休みがたまり、有休など使う暇のない状態であった。

正直に言えば、よく辞めずにこの会社に現職しているものだと思うが、それでも自分はニコニコが好きであり、自分の作るコンテンツが少なくともニコニコを支えているのだということを励みに仕事をしてきた。(現実には微々たる貢献だと思ってはいるが・・・)

さて、ここからは、自分から見た周辺環境の話をさせていただく。

同期に入社したエンジニアやエンジニア側の企画職に無事配属された人は自分の1.5倍の初任給をもらっており、本当の意味の裁量労働制があった。毎年有休が足りなくて困っちゃう、といった雑談を聞き嫉妬もあった。

職種が違い、エンジニアには専門技術もあり、業務内容が全く違うので当然である。自分はアプリ開発者志望であったこともありそのあたりには理解があると思っている。

他の退職エントリで皆様がご存知の通り、彼らは彼らで悩み、あがき、ニコニコをよくしようとしていたことは存じている。

だが、身を粉にして自分たち、「営業」がお金を稼ぎ、コンテンツを排出して支える中、ニコニコ本体は改善が行われず、状況は徐々に悪くなっていき鬱屈した感情をどんどん抱えて行くことになった。

ドワンゴのエンジニア諸氏は存じ上げないかもしれないが、実は我々「営業」職も定期的にアプリやシステムの企画を出し、前社長や旧エンジニア上位層に企画提案をしていた。

なお、当時の返答はまとめると概ね以下の通りである。

「我々には余力がなくそのようなことをしている暇はない。」

「企画は前会長氏の考えるものであり我々や諸君らが考えるものではない。」

つまるところ、エンジニア上層陣にとって、当時は「前会長」の喜ぶもの、認めるものにしか開発の許可がおりず、結果的に「前会長」の指示することだけをする組織になっていたのだと私は思う。

実際に前会長がいる会議に出たことがあるが、愚直に会長の思いつきをそのまま実現しようと強制している節が見て取れた。

ここまで前会長に非があるような書き方をしてしまったが、実際はそうではないと考えている。おそらく、彼はえらくなり過ぎてしまったのだろうと思う。

彼にとっては、簡単な思いつきや提案をしたつもりが、周りのイエスマン上層陣によって至上命令と捉えられていたのではなかろうか。

現場は上層陣にそれを実現するよう指示をさせられるが、当人にとっては軽い提案程度の気持ちだったので次の打ち合わせでまた新しい提案をしてしまう、結果的に何度も仕様変更を迫られ、振り回される現場は疲弊し、不満が溜まり、退職をして行く・・・という状況であったのだろうと愚考する。

さて、ここまでがこれまでのドワンゴの状況である。

では、今はどうか?

まず自分に関して言えば、まず働き方改革が進み十分な裁量が取れるようになっている。

周辺に関して言えば、上層陣が変わったことで、少なくとも縦の風通しも良くなり始めている。

変化に耐えきれず、または将来への不安から退職する人が多いことも事実ではあるが、ドワンゴはこれからの会社だと自分は思う。

もちろん、会社自体の業績がよくはないため、コストパフォーマンス重視にはなっているが、現状においては当然のことであろう。

オワコンと言われ続けてはいるが、どんどん改善され根強く支えてくれるユーザーの多いニコニコもある。

辛い時期ではあるが、お先真っ暗とまで悲観することはないはずだ。

一方で現状に一つだけ不満があるとすれば、夏野氏、栗田氏により営業職にも企画提案の門戸が開かれ始めているものの、やはりエンジニア職と営業職にはいまだに隔たりがあることだろう。

どちらもニコニコが好きで良い考えも持っているはずであり、協力することで開ける道があるのではないだろうか。